
無借金経営が最善?借入から生まれる企業の成長
石川県金沢市 なほ税理士事務所の川﨑です。
今回は中小企業の資金調達のかなめ、金融機関からの借入れについてのお話です。
経営者のなかには「無借金経営が一番」と考える方は少なくありません。
では、本当に無借金経営が最善なのかを検討したいと思います。
一般的に無借金経営が良いとする根拠は、次のようなことをメリットと考えてのことです。
利息の支払いがない
金融機関から借入れをすれば当然ですが利息を支払うことになります。
そのため、「この利息がもったいないから借入れをしない」と思うことがあります。
たしかに、利息の支払いが無いのはメリットと受け取れます。
では、実際どのくらいの負担になるのか計算してみましょう。
例として、金融機関から500万円を金利2%で借入れたとします。
1年間の利息は10万円となり、これを一か月にすると約8,333円。
さらに一日にすると約268円です。
おそらく、「利息は大したことない」と感じる方がいらっしゃるのではないでしょうか。
売上が安定しにくく、資金調達の方法にあまり選択肢のない中小企業では、手元に500万円の運転資金があるかどうかは明暗を分けるほどの影響があります。
有象無象の有事が頻発する昨今、低金利の恩恵を受けて手元に運転資金を確保していることの方が支払う利息の負担よりもメリットは大きいと考えることができます。
返済の不安から解放
借金があると「返済できるか不安だ」という経営者にとっては、無借金経営はそのストレスが生じないのでメリットといえます。
ところが、借入がなくても運転資金が不足すればさらに大きな不安を抱えることになります。
資金が枯渇してくると「潰れるかもしれない」と感じるはずです。
不安が原因で本業に支障をきたしてしまうくらいならば、借入し本業に集中できる環境を整え、成果を生み出すことに専念したほうが結果が得られることがあります。
あらためて確認すると、無借金経営のメリットは必ずしもメリットと言えないところがあります。
では、次に借金経営のメリットは何なのかを検討します。
資金があることで潰れにくくなる
「借金すると会社が潰れる」と言う経営者の方もいます。
では、無借金であれば会社は潰れないのでしょうか。
無借金の会社であっても、当たり前ですが資金が無くなれば潰れます。
正しくは借金するから潰れるのではなく、資金が無くなるから会社は潰れるわけです。
似たようなフレーズに、「赤字で会社が潰れた」といわれるますが、
決算書の業績は赤字でも、手元に資金があれば会社が潰れることはありません。
つまり、会社を潰したくないならばやるべきことは資金を手元に蓄えておくことです。
資金の調達手段が少ない中小企業にとって金融機関からの借入は欠かせない資金調達の手段です。
会社(事業)の成長のチャンスを掴む
会社を成長させる、事業の拡大をするには利益や人材を確保するチャンスをものにしていかなければならず、そのためには資金を投下していく必要があります。
具体的には、
- 新規出店をする
- 設備投資をする
- 優秀な人材を確保のために給料を支払う
これら全てに支払いが付いてきます。潤沢な資金が準備できていれば良いですが、そのような備えが出来る中小企業は多くはありません。
ここぞというときの資金を金融機関から調達できていれば、支払いができずチャンスを逃すといった事態に陥りにくくなります。
チャンスが目の前に転がりこんできても手元に資金がなければ黙って指をくわえて見過ごすしか手はありません。
企業にとって資金は成長するための必要不可欠な経営資源です。
まとめ
今回は中小企業の無借金経営、借金経営についてお話させていただきました。
1つのゴールが無借金経営であったとしても、ゴールにたどり着くまでの間、常に無借金経営である必要はありません。
まずはご自身に訪れるチャンスを失わないようにしましょう。
金融機関での資金調達の現場を公開しています。
借入れを検討されている方は是非ご覧ください。
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