なほ税理士事務所

2025.04.22 コラム

【創業1期目】役員報酬はいくらが得?税金・社会保険・手取りのバランスは?

「会社を設立したけど、役員報酬っていくらに設定すればいいの?」
創業1期目の社長にとって、役員報酬の金額設定は想像以上に重要です。

報酬額は、税金・社会保険料・会社の資金繰りに大きな影響を与えます。

高く設定すれば社会保険料が上がり、逆に低すぎると生活が苦しくなったり、信用問題にもつながる可能性があります。

本記事では、創業1期目の社長向けに「結局いくらが得なのか?」をわかりやすく解説していきます。

1期目の社長が役員報酬に悩む理由とは?

創業初年度は、まだ会社の売上や利益の見通しが立たない段階。

それに加えて…

と、迷う要素がたくさんあります。

役員報酬は、

会社設立後から3ヶ月以内に決定する必要があり

一度決めたら原則として期末(一期目の決算月末日)を迎えるまでは変更できません。

(変更すると経費に落ちなくなる)

慎重な判断が求められます。

役員報酬を「多くする」メリット・デメリット

✅ メリット

⚠️ デメリット

役員報酬を「少なくする/ゼロにする」メリット・デメリット

✅ メリット

⚠️ デメリット

法人と個人、どちらで資金をもつ?税金・社会保険・手取りのバランスを試算

役員報酬は高すぎても、低すぎてもそれぞれメリット・デメリットがあります。

どうやったら丁度良い役員報酬を決められるのでしょうか?

考え方としては、

税金や社会保険の負担を差し引いた手残りが、個人側と法人側を合算して最大になる役員報酬額

この役員報酬額を基準に、生活費とバランスをとって決めていくと良いでしょう。

検討する役員報酬の範囲は、法人側の利益をすべて役員報酬でもらう場合を上限、まったくもらわない場合を下限とします。

この間で、合算した手残りが最大になる役員報酬を探っていきます。

月額報酬ごとの簡易シミュレーション(概算)をご紹介します

役員報酬を月額5万~80万円で推移させた場合の、ひと月当たりの手取りがこちら

0~80万までの手取り推移(40歳未満)
単位:千円

※地域・年齢・扶養状況などによって差があります。
 表は石川県・40歳未満・所得控除は社会保険・基礎控除のみとした場合の試算です。

法人側の予測利益を、600万円(役員報酬を支給する前)と仮定してみましょう。

利益を「全部」役員報酬で支給した場合、最大で月額50万円が上限になります。

まったく支給しない場合(0円)を下限として、0円〜50万円の範囲で役員報酬を検討します。

▼会社側の利益

会社の利益_600万円40歳未満

▼個人と会社の合算

合算利益_600万円40歳未満

合算利益をみると、役員報酬を0円とした場合が最も手残りが多い結果になりました。(461万円)

ただ、それでは生活ができないので役員報酬を支給した場合の中で確認してみます。

一番手残りが多いのは、月額10万円になりました。(459万円)

ですが、生活のことを考えると心もとないですよね。
手取りとのバランスをみて、どの程度の支出を許容できるか見ていきます。

必要な生活費が月20万円の場合、月額30万円の役員報酬の支給が必要です。

月30万円の役員報酬を支払うと税金・社会保険のトータルで年間171万円のコストがかかります。
月額に換算すると約14万円のコストになります。

毎月の資金繰りと照らし合わせて無理がないかも合わせて確認しておきます。

創業1期目の役員報酬はいくらが「ちょうどいい」?

この条件でのシミュレーションでは、法人の利益が1,000万円までなら月額10万円がもっとも手残りが多くなります。
(40歳以上の方でも同じです。)

創業1期目の報酬額の目安は、月額10万円を出発点に生活費・資金繰りとのバランスをとると良いでしょう。

ただし、業種や会社の状況によって最適解は異なるため、「生活費」「資金繰り」「信用」なども含めてトータルで考えることが大切です。

【参考】法人側の利益が1000万円・600万円・360万円の場合の合算利益

条件:石川県・40歳未満の方・所得控除は社会保険・基礎控除のみ

▼法人利益1000万円の場合の合算利益

▼法人利益600万円の場合の合算利益(再掲)

▼法人利益360万円の場合の合算利益

こんなときは専門家に相談を!

役員報酬の設定は、節税・資金繰り・将来の融資にも直結する重要な経営判断です。
少しでも不安があれば、信頼できる専門家に早めに相談しましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、またのコラムをお楽しみに!

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